野菜を栽培するうえで必要になってくるのが肥料です。野菜を成長させるうえで必要な肥料ですが、主に有機栽培等で使用される有機肥料で栽培するのか?それとも一般的な野菜作りに使用される化学肥料で育てるか?を自分の好みによって選択します。
私はなんとなく安全そうな有機質肥料を使用してますが、化学肥料なら安全だはないのか?というと決してそういうわけではありません。有機肥料を使用して栽培するという決まり事を作っているだけです。有機質肥料は比較的安全なイメージがあるので、家庭菜園で使いたくなりますが、肥料が高価、肥料の効きが遅い、入手しにくいといったデメリットがあります。
次に考えるのは、肥料を単肥で施用するか複合肥料で栽培するかを選択します。
私は、有機肥料の単肥を使用して栽培しています。
単肥とはN(窒素)、P(リン酸)、K(カリ)別の肥料のことを言います。一般の化成肥料においては、Nは「尿素」「硫安」、Pは「過リン酸石灰」、Kは「硫酸カリ」「塩化カリ」などが有名ですが、有機肥料の場合ですと、Nは「油粕」、Pは「骨粉」、Kは「草木加里」などになります。
単肥を使用するメリットとして、肥料計算してそれぞれ必要な量のみを施肥することで、無駄な養分を与えないですむことと、肥料のコストが抑えられます。
デメリットとして、使用する肥料の種類が多くなること、肥料を施肥するときにそれぞれの肥料を計量しなければならず時間がかかることがあげられます。
複合肥料とは、N(窒素)ーP(リン酸)ーK(カリ)が8-8-8のように配合されている肥料です。ホームセンターなどでも売られています。主に化成肥料のものや一部有機肥料を配合した肥料などが主流です。有機100%の複合肥料も売られています。
複合肥料の場合で施肥計算する場合は、N(窒素)に合わせた形になりますが、Nを減らすと同時に、P(リン酸)やK(カリ)も同時に減ってしまいます。また、必要もないのに、PやKを多く入れることになり、土壌に蓄積する可能性があります。
以下、私が使用している主な有機肥料です。一部有機主体の肥料も含みます。
成分 | N(窒素) | P(リン酸) | K(加里) |
肥料 |
菜種油粕 |
焼成骨粉 |
草木加里 |
含有量 | N:5% | P:20~40% | K:30% |
特徴 | 窒素成分(N)は約5%。その他にもリン酸(P)や加里(K)も若干含みます。窒素成分が5%と少ないので、結構使用します。 | リン酸(P)は約20~40%。カルシウムも含みます。リン酸の成分が高いので、少量しか使用しませんが、高価かつ手に入りにくいのがネックです。 | 加里(K)を約30%含みます。若干の苦土(Mg)を含みます。パーム椰子の粕の灰で、有機質肥料の加里というと、この草木加里しか見当たりません。 |
入手先 | ホームセンター | ホームセンター | JA |
その他の有機質肥料 | 綿実油粕、魚粕、鶏糞 | 蒸成骨粉、バッドグアノ | ー |
酸度矯正の(pHを下げる)ための石灰資材も沢山の種類があります。私は、肥料を有機質肥料を使用しているので、石灰資材についても有機栽培でも使用できるようなものを使用しています。
成分 | 石灰質資材 | ||
肥料 |
有機石灰セルカ2号 |
貝化石 |
卵殻エース |
特徴 | 蛎殻を砕いたもので、さらに苦土(Mg)も含まれています。 | 貝の化石で作られた石灰質肥料。 | 卵の殻で作られた石灰質肥料。 |
入手先 | JA | ホームセンター | JA |
自分の菜園のpHに合わせて石灰質資材の散布の量を変えるのは、pHの分析が必要なので家庭菜園ではちょっとレベルが高すぎます。なので、1㎡あたり100gを目安に散布しています。ホウレンソウなどアルカリ性を好むものは倍量。ジャガイモやサツマイモなど酸性を好むものは無施用にしています。
とにかく、石灰資材は入れすぎないこと。一度蓄積された石灰はなかなか消えません。石灰の過剰で出る病気や土壌の硬化など石灰はpHを下げる反面、マイナスに働く要素も持っています。野菜の生育具合がちょっとおかしいと感じたときは、思い切って石灰の散布を中止することも必要です。
堆肥についても色々な種類のものがありますが、入手できるのは畜ふん堆肥(牛ふん堆肥、豚ぷん堆肥、鶏ふん堆肥)かバーク堆肥だと思います。
私は匂いも少なくて、土壌改良効果も高い、牛ふん堆肥のみを使用しています。
ナスやサトイモなど栽培期間の長い野菜には沢山施用し、ゴボウやニンジンなど岐根になりやすいものはほとんど施用していません。
もちろん、堆肥にも肥料成分が含まれているのですが、私は無視しています。地力がついてきて肥料が効きすぎと感じた場合は量を少なくする、毎年収量が勢いがよくない野菜やネコブセンチュウの被害が目立つ場合は量を多めにするといったぐらいです。
単肥で肥料を施用する場合、肥料計算が必要になります。
施肥基準については、お手持ちの本やお住まいの都道府県が公表している施肥基準を参考にするとよいと思います。
元肥と追肥にどれくらいの施肥を配分するか決めて、単肥の肥料成分と栽培する面積を基に施用する量を決定します。
1㎡当たり、各肥料成分を1kg施用する場合に必要な有機質肥料
有機質肥料 | 菜種油粕 | 焼成骨粉 | 草木加里 |
必要量 | 20g | 5g | 3.3g |
計算式 |
10aに窒素1kg投入するために必要な菜種油粕は20kg (20kg×5%=1kg)=20,000g 10aは1,000㎡ 20,000g/10,00㎡=20g/㎡ |
10aにリン酸1kg投入するために必要な焼成骨粉は5kg (5kg×20%=1kg)=5,000g 10aは1,000㎡ 5,000g/1000㎡=5g/㎡ |
10aにカリ1kgを投入するために必要な草木加里は3.3kg (3.3×30%≒1kg)=3,300g 10aは1,000㎡ 3,300g/1,000㎡=3.3g/㎡ |
備考 |
菜種油粕に含まれる窒素以外の成分は無視。 |
骨粉のリン酸を20%で計算。 焼成骨粉に含まれるリン酸以外の成分は無視。 |
草木加里に含まれるカリ以外の成分は無視。 |
上の表は、各有機肥料に含まれる成分をもとに、1㎡あたり各肥料成分1kg施用するにはどれくらいの施用が必要か肥料計算をしたものです。計算すると、窒素(N)の場合、菜種油粕を20g、焼成骨粉5g、草木加里3.3g施用すると、1㎡あたりN,P,Kを1kg施用したことになります。
計算例)品目:ズッキーニ、栽培面積:3㎡の場合
三成分 | 施用量 | |||||
成分 | N | P | K | 菜種油粕 | 焼成骨粉 | 草木加里 |
元肥 | 15 | 10 | 15 |
900g 20g×15×3㎡=900g |
150g 5g×10×3㎡=150g |
150g 3.3g×15×3㎡≒150g |
追肥 | 5 | 0 | 5 |
300g 5g×5×3㎡=300g |
50g 3.3g×5×3㎡≒50g |
先ほどの表の色塗りしてある1㎡あたり1kg施用する量に必要成分量と栽培面積を掛ければ、各肥料の施用量が求められます。
肥料計算が出来たら下記の表のように各肥料の施用量を時系列に並べておくと便利です。
各作物ごとの元肥および追肥を施肥計算して、月ごとに並び替えた表
1~12月までの施肥計算については「家庭菜園の施肥計算」で紹介しています。
私は各肥料を計りで計っていますので、施肥作業にそこそこ時間がかかります。肥料は容積に比例するので、カップなどに目盛りをつけて計ったり、一握り何グラムかを目安にすると時間がかかりません。
肥料計算しておき、毎年、同じ量の肥料を施肥することで、病害虫の予防や必要養分量が足りているか解ります。
病害虫が多く出る場合は窒素を中心に施肥量を少なくする。収量が少ない場合は、施肥量を多くするなど調整することで、次年度の改善につながります。